磁化曲線(φ/NI軌跡)


 磁化曲線とは、横軸に起磁力NI、縦軸に注目している巻線に鎖交する磁束をとったグラフ。これを用いると、ある電流状態(起磁力)での平均トルクが、曲線によって囲まれた面積から求まる。短節巻ユニポーラ駆動と全節巻ユニポーラ駆動・バイポーラ駆動・方形波駆動の4つを比較検討し、どの駆動方式が最も大きな平均トルクが得られるかを調べた。


短節巻では、自己インダクタンスのみがトルク発生に関与する。よって、例えばU相のみに着目して磁化曲線を描き、その面積そのものがトルクに変わる。

 

 

 

 

 

 

全節巻では、相互インダクタンスのみがトルク発生に関与する。この駆動方式では、絶えず2相が正で励磁されており、例えばV相のみに着目して磁化曲線を描き、その面積×2倍がトルクに変わることになる。なお図中の薄い緑は短節巻ユニポーラ駆動である。

 

 

 

 

 

 

 

この駆動方式では、絶えず2相が異なる正負で励磁されており、例えばV相のみに着目して磁化曲線を描き、その面積×2倍がトルクに変わることになる。なお図中の薄い緑は短節巻ユニポーラ駆動である。この駆動方式は、他の3つとは違い合成の磁束が横方向に向く。その違いが磁化曲線にも現れているものと考えられる

 

 

 

 

 

 

この駆動方式では、常に3相が励磁されている。よって、V相とU相に着目して磁化曲線を描き、そのV相の積×2倍+U相の面積がトルクに変わることになる. なお図中の薄い緑は短節巻ユニポーラ駆動である。磁化曲線の面積はユニポーラ駆動より幾分大きくなっているが、通電期間も一番長いので巻線抵抗での損失を考慮した場合(銅損一定)には不利になる。

 

 


以上の結果をまとめたのが左のグラフ。横軸が1相当たりの起磁力、縦軸が平均トルクである。これより以下のことが分かる。

(1)全節巻方形波駆動が、最も平均トルクが大きい。しかし、通電期間も一番長いので巻線抵抗での損失を考慮した場合(銅損一定)には不利になる。

(2)全節巻バイポーラ駆動は、入力電流が大きい用途には不向き。

(3)入力電流が小さい範囲(線形領域)では、全節巻の全ての駆動方式が短節巻よりも平均トルクが大きい。

(4)全節巻ユニポーラ駆動では、短節巻の起磁力の半分で同じ平均トルクが得られる。

なお、巻線抵抗での損失を一定にした場合(銅損一定)についても結果を求めたが、その場合、全節巻ユニポーラ駆動が最も大きなトルクが得られた。

 

 


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